「読書の秋」「芸術の秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」… 秋の代名詞には様々なものがありますが、みなさんが真っ先に思い浮かべるのは何でしょうか。 夏の暑さがやわらいで過ごしやすくなってくる秋は、おいしい”秋の味覚”がたくさんあり、食べるのがより一層楽しくなる季節でもありますよね。中でも、9月~10月がちょうど収穫の時季となる「新米」が楽しめるのも秋ならでは。 今回は、埼玉県鴻巣市のお米農家・小林町子さんに、新米のおいしい楽しみ方や、農家さんならではの料理などについてお話を伺ってきました。 お話を伺った人:小林町子さん 埼玉県鴻巣市で家族で農業を営む。50ha以上の広い田んぼでお米を栽培しながら、学校給食向けに野菜の栽培も行っている。 農家さんは朝が早い? 農家さんといえば、「朝が早そう」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。野菜など、毎日収穫のある農家さんは朝が早いですが、お米農家さんは実はそこまで朝が早いわけではないそう。 小林さんの場合は、朝に洗濯物などの家事を済ませてから、だいたい朝8時ごろに田んぼに出られるといいます。繁忙期にはパートさんに手伝ってもらうこともあるものの、基本的にはご家族三人で農業を営んでいる小林さん。田植えはほとんど小林さんおひとりで(!)されているというパワフルさには驚かされました。 新米のおいしい食べ方は? 新米とは、秋に収穫してその年の12月31日までに精米され、包装されたお米のことをいいます。みずみずしくつややかで、やわらかくもっちりとした炊きあがりと甘みが特徴の新米は、まずはそのままで味わってほしいという小林さん。「新米は、お米だけでもおいしく食べられます。お米そのものがおいしいから、シンプルに塩おにぎりや、漬物と一緒に食べるのがおすすめ。おかずはお好み次第で、何に合わせてもおいしいですよ」 お米の炊き方にコツはある? お米をおいしく炊くために、簡単に取り入れられるコツとして小林さんが教えてくれたのが、「量を多めに炊くこと」と「炊きあがったらすぐに全体を混ぜること」。「ふっくらと炊き上がり、ごはんをよりおいしい状態で味わうことができますよ」 農家さんならではの料理? 白菜の古漬け たくさん採れた野菜を漬物にして、長く保存できるようにするのは農家さんならではのアイデアのひとつ。中でも小林さんがよく作っているのが、「白菜の古漬け」。古漬けとは、生の野菜を葉が黄色く、しょっぱくなるまで塩漬けにしたもので、小林さんは白菜の古漬けをアレンジしてごはんのお供として食べることが多いそうです。 葉が黄色くなるまでしっかり漬かった白菜は、冷凍で保存。食べる際には水で塩抜きをしてからぎゅっと絞り、ちぎった鷹の爪とオリーブオイルで炒め、仕上げに醤油をちょっと垂らすのが小林さん流!ひと手間加えるだけで、さらにごはんが進むおいしさなんだとか。想像するだけでもお腹が空いてきます… そのほかにも、切り干し大根やひじきの煮物などをよく作られるそうで、「大根は薄く輪切りにしたものをさらに細長く切り、ざるにあげて日の当たるところに干しておけばご自宅でも切り干し大根を手作りできますよ。乾燥している寒い季節がおすすめです」と教えてくれました。 おいしい「秋の味覚」がたくさんのこれからの季節。 みなさまもぜひ旬の食材を味わって、季節を感じてみてはいかがでしょうか。 10月号もぜひお楽しみに!